2014年07月30日

はななすの歌舞伎花暦〜千秋楽『蓮』

こんにちは、はななすです。浴衣姿が多く見受けられ、暑さの中にも夏の風情が感じられる頃となりました。

 先日、以前の習い事の恩師を偲ぶ会が行われ、お写真の後ろにいけばなを飾らせていたただきました。恩師とともに過ごした時間を思い返し、優しくて可愛らしいお人柄をトルコキキョウで、力強いピアノの旋律を五線紙に見立てたニューサイランで表せたらと、心をこめていけました。

20140727.jpg

集まったみなさんにも、その思いを受け取っていただくことができ、ほっとしました。今回も森先生、先輩方、三田ハナモさんにお力をいただき、心強かったです。ありがとうございました。

 さて、歌舞伎花暦も本日をもって千秋楽を迎えました。幕切れを飾るのはです。

画像 1769.jpg

ご紹介する演目は『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)・合邦庵室の段』。

元武士である合邦は出家し、いまでは小さな庵に住まっています。娘の玉手御前は若くして大名の後家に治まりましたが、お家騒動を発端に、義理の息子・俊徳丸に毒を盛り、不義をしかけます。逃げる俊徳丸、追う玉手御前合邦の庵で一同が会し、玉手御前は娘の行いを恥じる父・合邦の刃にかかります。しかし息絶える間際、玉手御前から衝撃の真実が語られるのです!

 暗い庵室の庭先には、ことの顛末を見守るように静かにの花が浮かんでいます。その姿は人間の業を包み込み、浄化させる唯一の救いのようでもあります。がそこにあるだけで、物語の結末が崇高にさえ見えてくるのでした。

 昨年から10回にわたる連載となりましたが、ご愛読いただきありがとうございました。
歌舞伎の中に登場するたくさんの花草木は、そこにあるだけで物語の真意を語ってくれることに気付かされる1年でした。みなさんも、ぜひ気軽に歌舞伎座などの劇場をのぞいて、花さがしをしてみてくださいね。
それでは、またお目にかかれる日まで!

IMG_1549.JPG

はななすかわいい
posted by morikadou at 22:29| Comment(1) | はななすの歌舞伎花暦

2014年06月23日

はななすの歌舞伎花暦〜第九幕『柳』

こんにちは、はななすですかわいい
梅雨というより、もはや雨期のような天気の6月ですね雨

 月末に開催される友達のミュージカル・ライブの舞台の片隅に花を飾らせていただくことになり、そのための稽古をしています。花展とは違うアプローチが必要なこともわかってきました。機会を与えてくれた友達と、アドバイスをくださる森先生、ありがとうございます。

jiyuka.JPG

花材:バラ、ミニバラ、スモークツリー、グリーンウェーブ、グリーンネックレス

 さて、京都・祇園の舞妓さんが髪に飾る花かんざしは、毎月その季節のあった花や風物があしらわれますが、6月はだそうです。そこで、今月の歌舞伎花暦はを題材とする『三十三間堂棟木由来(さんじゅうさんげんどう・むなぎのゆらいを取り上げることにいたします。

 京都の蓮華王院三十三間堂はご存知の方が多いこととと思います。千体ある千手観音の内に自分に似たお顔の観音様がいらっしゃると言われていますが、池坊ともご縁が深く、毎年桃の節句の3月3日に献華が行われているそうです。

yanagi01.JPG

 お話をご紹介いたしましょう。

時は平安時代、この話のヒロインお柳(りゅう)は元武士で今は百姓の夫、姑、みどり丸という5歳の息子と幸せに暮らしていました。

その頃、白河法皇が頭痛の病を得て苦しみ、その原因は前生の髑髏がの木の梢に留まっているためで、そのを伐って都に三十三間堂を建て、髑髏を納めれば病は平癒するという夢のお告げを受けます。

を伐り倒す斧の音に苦しみだすお柳。実はお柳は、そのの精だったのです!
前世の縁を叶えるべくになって待っていたのですが、鷹の尾がに絡まり離れず、ごと伐り崩されるところを今の夫が矢を射って鷹を放ち危難を救われました。その恩返しに人の姿となり、夫婦になっていたのでした。

お柳は消えてに戻り、都へ曳かれて行きます。みどり丸が母であるそのに泣いて縋りつく、子別れの悲しいお話です。

yanagi02.JPG

 現在は歌舞伎よりも人形浄瑠璃・文楽での上演の方が多い演目ですが、歌舞伎にはこのように植物動物が人に姿を変える話が数多くあります。命や心が宿るのは人だけではないと、はかない生き物にも畏怖を抱き、慈しんでていた昔の人の生き方が表されているようです。
花をいける時の心構えに気付かされるお話でした。

 それでは次回の歌舞伎花暦、ついに"最終回"ぴかぴか(新しい)もお楽しみにるんるん

はななすかわいい
posted by morikadou at 20:12| Comment(0) | はななすの歌舞伎花暦

2014年05月25日

はななすの歌舞伎花暦〜第八幕『藤娘』

こんにちは、はななすですかわいい

 花展もお陰様をもちまして無事終わり、先日は数ヶ月ぶりに自由花を生けました。自由花の発想を忘れていそうで心配でしたが、今までになく立体感を意識することが出来たのは、生花の特訓のおかげでしょうか。これからもバランスを取りながら稽古に励みたいです。

2014051017540000.jpg
(花材:ミニばら、姫がま、サンダーソニア、モンステラ)

 さて、今月の歌舞伎花暦は『藤娘』を取り上げますぴかぴか(新しい)

 品よいや白い色合いに甘い香り、風に揺れる花房と、は五感を楽しませてくれます。
歌舞伎舞踊の名作『藤娘』も、まさにそのような作品です。みなさんも羽子板や博多人形などで、黒い塗り笠をかぶり、の一房を肩にした姿を、ご覧になったことがあるのではないでしょうか。元は『大津絵』という琵琶湖畔の土産物に描かれていたそうです。

K0120173.JPG

 歌舞伎舞踊では、舞台一杯にの大木。実際にはありえない大きな花房は、役者さんの可愛らしさを引き立てる意味もあるそうです。黒や藤色の帯や着物にも藤の花房があしらわれ、何度も引き抜きなどをしながら衣装も多彩に変化します。

IMG_2111.JPG

 この作品、実に多くの役者さんが演じておられますが、同じ舞台美術や衣装、唄のはずなのに印象がそれぞれ異なります。可愛らしさ、妖艶さ、健気さ、美しさ。役者さんの個性が表れ、何度見ても飽きません。藤の花房が揺れて、舞台からよい香りがしてきそうで、うっとりして感嘆の息をこぼしている内に、夢のような一時は終わってしまいますぴかぴか(新しい)

IMG_2325[1].JPG

 藤棚の下で甘い香りにうっとりしながら、お茶にお団子。なんていうのも楽しそうですね。

 それでは、また次回をお楽しみにるんるん

はななすかわいい
posted by morikadou at 09:49| Comment(0) | はななすの歌舞伎花暦